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「トチロー」
「いや、だから」
「トチローにしろ。呼びにくい」


名前

「大山敏郎」
俺の名前は大山敏郎である。
この名前がキライというわけではない。
むしろ、愛着はそれなりにあった。

「トチロー」

世間的にみて、あまり良い親とは言えなかったかもしれないが、それでも俺にとってはそれなりにいい親だったし、尊敬もしてた。

「トチロー」

その親がつけてくれた名前だ。

「トチロー」

愛着もある。
・・・・・・・あるんだ。

「トチロー」

今まで、10年以上この名前で呼ばれてきたんだ。

「トチロー」

周りの仲間も、俺を呼ぶのは「大山」だったり、「敏郎」だったりするし。

「トチロー」

初恋の女が俺のことを呼んでいた名前も「敏郎」で。





「だからな、ハーロック。俺の名前は大山敏郎だって言ってだろうが!」
「呼びにくい」
「あのなあ。だからって勝手に人の名前を変えるなよ」
「別にかまわんだろう。

最近出会った、やたらと顔がよく、腕も立つ、なぜか俺がナンパしてしまった男(あれはナンパだよな・・・・・・うん)ハーロックはどうやら俺の名前が呼びにくいらしい。
呼びにくいだけで名前を変えられてしまっては、かなり悲しいのだが、ハーロックはがんとして己の説を譲ろうとはしない。

曰く
「いざというときに呼びにくい名前はイヤだ」
だの
「トチローのほうが響きが可愛い」
だの
訳の分からん理由で、コイツは俺の名前を変えようとするのだ。
大体、響きが可愛いってなんなんだよ。
男の名前が可愛くてどうする!




「んなこと言うなら俺だってお前の名前を『ハーちゃん』と呼んでやる。嫌だろう」




一瞬黙り込む男に勝った!と思った。




「ハーちゃんか・・・・・・まあ、悪くはないな」

オイ。

「今までそういった風に俺を呼ぶ奴はいなかったが、まあトチローならかまわないだろう」


コラ、待て。


「では、トチロー」


すいません。
もういいです。
もう!いいです!


「なんだ。ハーロック」


「なんだ。『ハーちゃん』じゃないのか?」





呼べるか!!!






この日から、俺の名前は「トチロー」になった。





「トチロー」



愛着もあった。キライじゃなかった。






「トチロー」



でも。
まあ。





お前が呼ぶなら仕方がない。
だから勘弁してやる。



ハイ、ハーロックだだっこ企画の発動でした。
ハーロックは子供で、しかも天然です。
サイコーですね(笑)
このエピソードは、どっかで聞いたんです。
ハーロックが呼びにくいから「トチロー」と呼ぶことにしたとしたというエピソード。
絶対使ってやろうと思っていました(笑)
ちなみにハーちゃんは、私が悲しいです。


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