すき
すき あなたがすき 女だということを嫌悪したことは一度もない。 だけど、女であるということに喜びを感じたのはあなたと出逢ったから。 「ううん〜。エメラルダス〜」 トチローが私の膝で子供のように愚図る。 私は、そのばさばさで、柔らかい髪を優しくなでた。 ハーロックがそれを見ないように、しかしやはり見てしまって不貞腐れている。 まあ、普通の人間には無表情にしか見えないのだろうが。 私はあえてそれに気づかないフリをする。 少しぐらいいいと思う。 いつも私が嫉妬しているのだから、時々は貴方が嫉妬しなさいな。 『あいつはな、あれで結構可愛いのさ』 初めて聞いたときは驚いたものだ。 私がハーロックに対して感じていたイメージとはまったく違うものだったから。 『よく見ればわかるよ、エメラルダスにもな。俺が選んだ男だ、確かに強い。しかし別にそれだけならば他にも幾らでも・・・とまでは言わないが、多少はいる。しかし、あそこまで可愛げのある男はそうはいないぞ』 トチローは酒に強くはない。(弱いというわけではないが) これは酒に酔ったトチローに聞いた話。 笑いながら、しかし自慢げに相棒を語るトチロー。 案の定、次の日それとなく聞いてみてもまったく覚えていなかった。 胸の中にチリチリするような感触があった。 よくは理解できなかったけど。 今思えば、それはきっと嫉妬だったのだろう。 それからすぐに、ハーロックを観察し始めた。 観察すると見えてくるものがあった。 トチローに対して、すぐ拗ねる貴方。 トチローといるといつもの倍に表情の変化する貴方。 トチローと笑う貴方。 そして同時に、 トチローの眼が、 トチローの声が、 トチローの表情が、 貴方にだけ向けられるトチローの姿。 悔しかった。 そしてこの恋を自覚した。 私はトチローが好きなのだと 私にもその笑みを向けたいのだと。 私の恋は叶った。 でも叶わなかった。 今の私はトチローの恋人。 だけど、トチローの一番はやっぱり貴方で、それに嫉妬する私がいる。 私は貴方も好きなのよ。 それは、小さな子供に向けるような、親友に向けるようなそんな愛情だけど。 ねえ、ハーロック。 きっと貴方が一番トチローに愛されていると思う。 だからそんなに不貞腐れないで。 でも、どうか気づかないで。 『俺はハーロックが好きだよ』 このひと時、ほんのひと時だけを私に。 |
エ、エメラルダスが乙女です。どうしましょう(汗)
でも、それ以上にハーロックさんが乙女かもしれません。むしろ子供?
トチローさん、女性相手に親友の惚気は止めましょう。
あまりといえばあまりです。
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