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「トチロー」


「なんだ?」


永遠なんて知らない。


「甘えさせろ」

「待て、コラ。それは男に言う台詞なのか?」


永遠なんて望んだことなかった。


「別にヤッタランには言わない」

「はあ?」

「トチローだから言うんだ。別にトチロー以外に甘えさせて欲しくない」

「女見つけろよ。頼むから」

「トチローよりいい女がいたら考える」

「お前なあ・・・・・俺のことなんだと思ってるんだ」

「トチロー以外の何かなのか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・もういいです」


でも、今、永遠が欲しい。









永遠にも似た、このひとときに





トチローは柔らかい。
トチローは暖かい。



トチローの言うとおり、それは俺の思い込みなのかもしれないけど。
それは俺がかってに思ってるだけなのかもしれないけれど。



「ハーロック、お前は男の膝枕で寝るのが好きなのか?」



トチローの膝は、なんだか安心する。
柔らかくて、暖かい。



「トチローだから好きだ」


男の膝枕なんてとんでもないけれど、トチローならばそれもかまわない。


「・・・・・さようか」





この暖かい生き物は俺を置いて、いつか逝ってしまう。


それがいつかなのかは知らない。



でも、それがそんなに遠い日じゃないことを俺は知っている。



いつか、こいつは俺を置いて逝ってしまう。




「トチローは暖かいな」


「そりゃどうも」



俺はそれを知っている。


トチローはいつか俺を置いて逝ってしまう。


「眠い」


「はいはい、分かったからさっさと寝ろ」


「子守唄が欲しいな」


「・・・・・・・ハーロック、いい加減にしないと切れるぞ」



トチローの声がワントーン下がる。


でも、俺は知っている。


「トチロー」



俺は笑う。



「子守唄、歌ってくれ」





大きなため息。
そして、小さな笑み。



「ああ、もう分かったよ」



トチローはいつも優しい。








トチローの声は低く柔らかい。

いつも『声だけで女を落とせる男が何いってやがる』といって、怒られるのだが、トチローの声も十分『いい声』だ。

女<俺の声<トチローの声なのだから、トチローの声が一番に決まってると思うのだが、どうだろうか?

今度、エメラルダスに聞いてみようと思う。



「・・・・・・・・・・・」




ふと、歌声が途切れる。



「もう、寝たか?」


トチローの手が、俺の髪に指を絡め、優しく撫でる。
暖かい手だと思う。


刀を握るその手。
人を殺すための武器を作る手。


いつか嫌いだと言っていたその手は、俺の手なんかよりよっぽど優しい。




「もう、少し」


俺は小さな声で答える。



「まったくこのガキんちょは」


トチローは低く笑う。

その笑い声が気持ちいい。




「なあ、トチロー」



「いい加減寝ろ」


優しい、優しいトチロー。



「いつかお前は俺を置いて逝ってしまうんだろう」



トチローは一瞬息を詰まらせ、そして小さく笑った。



「そうだな、きっと俺はお前より先に死ぬよ」



知っている。


そんなこと。



ずっと前から知っている。



「逝くときは絶対言えよ」



優しい。
優しい俺の友。


「ああ」


お前はいつも優しい嘘をつく。




「逝くときは、お前に言うよ」


分かっている。
理解している。




俺が気づかないうちに、きっとお前は逝ってしまう。



だってお前はいつも嘘吐きで意地悪だから。





お前は誰よりも優しくて。



「ハーロック、約束するから」



お前は誰よりも残酷だから。



「ハーロック、だから泣くな」




トチローの手が俺の目を覆う。


「泣いてなんかいない」


永遠にも似た、このひととき




「泣いていないのか?」




優しいトチロー。



優しい空間。



優しい時間。



「泣いてなんかいない」



ああ、本当にこれが永遠だったらどんなにいいだろう。




「そうか、お前は強いからな」



優しすぎるお前は。


誰よりも残酷なお前は。












「俺は宇宙最強の海賊だからな」










笑って。










「「だから、泣いてなんかいない」」





「だな?」

「そうだ」











消えてしまうのだろう?










「トチローなんてキライだ」


「俺は愛してるぞ。ハーロックくん」


「嘘吐き」


「それはひどい」


「お前なんて嘘吐きで意地悪なんだからな」


「それはひどすぎだろう?」









そして、残酷なお前。





永遠なんて願ったことなかった。

でも、今俺はこの空間が永遠だったらと願っている。






永遠なんて祈ったことなかった。

でも、今俺はこの空間が永遠だったらと祈っている。













「キライだ、トチローなんて」



「俺は好きだよ」





永遠なんて知らない。

永遠なんて望んだことなかった。

でも、今、永遠が欲しい。






「やっぱり好きだ、トチロー」


「そりゃどうも」





そうすれば、ずっとお前といれるのに。











ちょっぴり切な系で。
BGMは『聖母たちのララバイ』でした(笑

関連性は謎


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